何をやってもうまくいかない、“もしかしてADHDかも?“と思ったら・・
大人のADHD・大人の発達障害とはどんな病気?
ADHDとは、不注意や多動性、衝動性を特徴とする発達障害です。今までは、子供に特有なものであるというイメージが多かったですが、最近は成人にも見られることが多くなってきており、「大人のADHD」と呼んでいます。問題が繰り返しが生じており「やる気がない」「だらしない」など言われ続けてきて、それに耐えてきたという方もいるかと思います。症状はすべての症状が揃うのではなく、コミュニケーションの不得手のみであったり、多動性の目立つ症状であったりなど様々です。
ADHDの主な症状
ADHDの大人の方が会社で働きはじめると、不注意や多動・衝動などが弱みとしてだけ注目され様々な場面で悩むことが多くなります。そのために自信が持てず、「自分には能力がないのでは・・・」「自分はなまけものだ」と自己否定することで辛くなってしまいます。ですが、実は好きな分野や得意な分野では集中力を保ちやすかったりミスも少なくなるだけではなく能力を発揮できることも多いのが特長なのです。多くの方は独自の視点や豊かな発想を持つことでその才能を生かしたり、衝動性も適切な方向で発揮すれば、行動力につながりそれがより多くの経験・実績につながるという強みもADHDにはあるのです。不得意に対してはカウンセリングの治療方法もありますので、まずはご自身の傾向・特徴を知り、苦手としていることをまずは“少しだけカバーするきっかけ作り”のつもりで受診されてはいかがでしょうか?
日常生活の中で現れやすいサイン
・ついつい他の事を考えて、気が散ってしまう
・片づけができない
・仕事や家事の段取りが組めない
・仕事や家事で優先順位がつけられない
・思った事をすぐに口に出して言ってしまう
・不快なことがあると怒りがうまく抑えられず爆発してしまう
・期限が守れない
・同じような単純なミスを何度も繰り返してしまう
・持ち物を忘れる、よくなくす
大人のADHDでみられる不注意・多動
・不注意からの失敗が多い
・すぐ気が散ってしまう
・話しかけられても聞いていないように見え誤解される
・物事を順序立てたり、やり遂げられない
・必要なものをなくす
・忘れものが多い
・そわそわと手足を動かす
・じっと座っていられない
・静かにしているのが苦手で落ち着かない
・しゃべりすぎることが多い
・相手の話が終わる前に話し始めてしまう
大人の発達障害の方によくある傾向
・グループでの業務・活動が苦手
・相手とのやり取りがうまくかみ合わない
・自己流で物事を進めることに固執する
・自分な納得した方法で物事が進められないと困惑する
病気の症状が引き起こす悪影響
(例1)不注意が重なって、会社でまずい事態を招いてしまった・・・
仕事でミスが多いと、職場や人間関係がぎくしゃくして、気分まで憂鬱になってしまいます
(例2)ミスをしないように自分なりには努力しているのに繰り返してしまう
繰り返すミスで、自分に自信がなくなります
(例3)周りにわかってもらえない
自分だけ孤立してしまい、自分が周囲と異なることで劣等感を抱きやすくなり、落ち込みや不安が強くなります
治療について 「カウンセリング」と「適切な種類・量の薬物療法」があります。
ADHDの方に多く見られる、不注意やミスの多さ、衝動性など、不得意としている箇所については、カウンセリングで苦手を減らしていくスキルを身につけたり、薬物療法も併用することにより症状を目立ちにくくさせることができます。
@カウンセリング治療
「カウンセリング」では苦手としていることや、ミスや場にそぐわない言動、衝動の起きやすい状況をカウンセラーと共に確認しながら、対処行動を学んだり、やるべき事柄をリストにする方法など、日常生活で取り組める行動を、提案しカウンセラーがクライアントと共により合理的な行動に変えられるように促していきます。
なお、当院ではうつやパニック障害と診断された方のカウンセリング治療も重視しておりますので、お気軽にご相談ください。
A薬物療法
患者様の症状に応じて、「不注意」「多動性」「衝動性」を改善する目的で、適切な種類・量のお薬を処方させていただくこともあります。お薬を活用し、症状を改善することで、日常生活の悪循環を断ち、生活を好転させることを目指しています。当院ではまずは、依存などの心配が極めて少なく、継続的に服用でき、1日を通して症状の改善が期待できるアトモキセチンを第一選択薬としています。従来からあるメチルフェニデートが中枢神経刺激薬であるのに対し、この薬はそれとは違う非中枢神経刺激薬になります。そのため、依存・乱用・副作用のリスクがほとんどなく、またメチルフェニデートで禁忌とされる過度の不安・緊張などの併存障害をもつ人にも使用可能です。
お気軽にご相談ください。
小児期と大人のADHD・大人の発達障害の違い
ADHDは大人になってから診断がつく場合でも、多くの方たちは小児期から不注意や衝動、対人関係などで悩んでいます。経験や周囲の助言、自分なりの工夫や対策で乗り切ってきたが多いです。しかし学校と社会は違います。これまでの工夫や対策を行っても、不注意や衝動・対人関係の悩みが目立ちやすくなったり、周りから指摘されやすくなったりなどをして、受診される方も多いです。不注意や不用意な発言から生まれる人間関係のトラブルがストレスとなり、さらに心のバランスを崩し、うつ病や不眠などその他の症状を伴いやすくなるのも特徴です。
またADHDと同じく発達障害に分類される自閉症スペクトラム、アスペルガー障害は、「こだわり」の強さや「対人コミュニケーション」が苦手とされており、ADHD同様に不得意な部分が、周囲となじめない原因となり、ストレスからうつ病や不眠などの健康障害を引き起こしやすくなります。カウンセリングなどお困りの症状を和らげる方法もございますので、お気軽にご相談ください。
なおADHDや発達障害の症状は、マイナスの側面ばかりが注目されがちですが、実は同時に強みともなり、秀でた得意分野を持ち合わせていることも多いのです。症状をマイナスにとらえるだけでなく「もともと持っている特性を活かして豊かに生きる」。その補助として医療も利用する。そんなイメージも大切だと思います。
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